【コラム】個性化に限界はない ~ 成長の限界のその先へ


「成長の限界―ローマ・クラブ「人類の危機」レポート」という本をご存じですか?
地球という限られた星の中での経済成長には限界があると警告した本として有名ですね。

組織開発や企業研修に関わる中で、最近この本のタイトルをふと思い出し、今まさに企業などの組織に求められている「進化=個性化」と、「成長」という言葉を対比させて考えるとわかりやすいと思ったので、少しまとめてみたいと思います。全体像としてはこんな感じです。



では、順を追って見ていきましょう!


現代という時代は先行きが不透明で、ひとつの正解がない時代、誰も答えを知らない時代です。このような時代にあっては、個人も組織も今までと同じことだけを続けていたら生き残れない可能性が高いと言えるでしょう。所属している組織によって違いもありますが、大きな時代の流れがこの方向に向かっていることは間違いないはずです。

そのような背景を理解した上で、既存の組織形態を「機械」のような組織として眺めてみましょう。



機械としてとらえるわけですから、会社というものはコントロール可能なものだと思われています。もちろんそこにいる社員もコントロールできるもの、しなければならないものだと考えられ、社員は交換可能な機械のパーツであると考えられています。社員は解決してもらうことを待っている問題であるので、会社の枠にはめて成長(コントロール)させようとします。他社との競争や会社内での競争などにより、この成長は推し進められ仕事ができるようになることが評価の対象となります。しかし、このようなコントロールを前提にした成長には限界があります。会社が想定するある一定のレベルを超えることができないのです。高度経済成長期のような時代にはこのような「機械」としての組織が効果的、効率的であったかもしれません。しかし時代は変わっています。たとえ大企業であっても、成長の限界、競争の限界にしっかりと向き合っていかなければ生き残れない時代です。「機械」のような会社の特徴としては、指示命令型のトップダウンの経営スタイルで、ひとつの正解に向かって邁進します。正解は優秀なリーダーから与えられたり、外部のコンサルタントの力を借りて持ちこまれたりします。そこに所属する社員にはおそれや不安がつきまといます。


一方、先行き不透明な時代にも進化・適応していける組織形態を「生き物」のような組織として眺めてみましょう。


自然界に存在する生き物たちのことを考えればわかるように、コントロールすることはできませんがある種の働きかけをすることでよい状態をホールド(保持)しながら、組織そのものが持っている意思によって周囲の環境に適応していきます。社員は、会社という大きな「生き物」を構成する構成員として、組織を構成するかけがえのない存在としてとらえられ、問題のある存在ではなくその人が持っている本質が明らかになることを待っている可能性であると考えられています。このような前提を共有する中で社員の可能性が開花=個性化していきます。会社から定められた枠があるわけではなく、得意なことも苦手なことも違う一人一人の社員が相互に補完し合いながらチームとして強みを発揮し、そのことによって組織も個性化=進化していくことができます。もちろんこのような組織の先にある顧客の可能性も開花していくので、「生き物」のような会社はこのような時代にあっても顧客からも、そして社員からも選ばれる存在になるのです。今の自分にはないものを身につけようとしたり、足りないものを補おうとする成長には限界がありますが、このような意味における個性化には限界がないのです。会社の特徴としては主体性や自発性にあふれた自主経営が行われ、現場にいる社員の中から納得解や満足解が生み出され、周囲の環境変化に柔軟に適応していきます。そこに所属する社員には、安心感や信頼、よろこびが満ち溢れています。

みなさんの会社はどちらの形に近いでしょうか? 「生き物」のような組織はどうしたら実現できるのか? 以下のプログラムでまずは個人に焦点を当てて理解を深めていきたいと思っています。ぜひ一緒に考えていきましょう!

     👇参加者募集中です👇
 4/14(日)10-17時 @ ゆいぽーと(新潟市)

  【個人編】ティールを体感するワークショップ

今回は個性化という言葉を理解しやすくするために、成長という言葉の意味をあえて限定的にしています。成長=悪、個性化=善ということではありません。


                               遠藤あき

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