【プログラム報告】グリーンウッドワークで匙る1日

10月19日に
グリーンウッドワークで匙る1日~森との対話から始めるスプーン作り~
を実施しました。


グリーンウッドワークとは、生木を加工するクラフトのことです。
生の木を使うから、やわらかくて加工しやすい。
電気を使わずに人力で作業をするので、危険もなく、環境にも優しい。

そのないいとこばかりのグリーンウッドワークですが、唯一のデメリットは時間がかかることです。
ただ、その時間がとても大切な時間なんだと今回改めて感じました。


今回のプログラムは
「人とつながる」と「エコビレッジシェルタープロジェクト」の共催でのプログラム実施です。最初私がエコビレッジシェルタープロジェクトの荻原さんに会い、話をしていて、グリーンウッドワークみたいな文化をもっと広げていきたいんだよね。という話で荻原さんと盛り上がり、それならぜひ一緒にやりましょうということで今回のプログラム実施に至りました。
そこに、アウトドアショップのWESTさんも加わっていただき。
プログラム当日は3社で実施&運営をさせていただきました。


プログラム当日は、雨予報。
少し残念な気持ちではじまりかな~と思いましたが
最初はなんと日差しもでるような天気で、外でプログラム実施できました。
今回の参加者は、台風被害の影響もあり、キャンセルも出てしまい当日は参加者5名での実施でした。運営スタッフも入れると10人を超える人数でしたが、輪になって話すにはちょうどいいサイズでした。


最初は自己紹介などのオリエンテーション。
それぞれどんな目的でここに集まったのか、などなど、なかなか盛り上がる時間でした。
そして、3社の会社紹介。これも、笑い混じりの楽しい時間でした。
そして、グリーンウッドワークについての簡単なお話をして、森へと出かけました。

今回のプログラムでは
「森の時間に体を馴染ませる」
「過去や未来ではなく、今この瞬間に集中する」
「形や結果にこだわるのではなく、どうしたいのかに寄り添う」
この辺りにこだわって時間を使ってほしかったので
まずは、森の中でゆっくりと五感を使ったワークをしました。

みなさんの呼吸も少しづつ落ち着いてきて、森の時間に体が馴染んできた感じが見られたところで、ついに今日加工する木を切ります。
今回は、森の整備の関係で切る必要のある木の生命をいただきます。
樹種は「そよご」でした。

それほど太い木ではありませんが、倒れる時にはそれなりの迫力がありました。


みんなで協力して切り倒してからは
まずはスプーンの長さに切りわけて、自分の材を確保します。
その材を2つに割って、そこから大まかな加工が始まります。


最初は斧ではつる作業です。
みなさん普段は斧を振る機会などないので、最初はなかなか苦戦していました。
みなさん徐々に集中力が増してきて、雑談も止まり、斧ではつる「コーンコーン」と言う音だけしか聞こえない場面もありました。

その作業途中で、「お昼の時間ですよ~」の声がけ
それぞれの区切りのいいところで昼食を取りましょうと言っていたんんですが、結局みんなでカレーをいただきました。
ご飯はかまどで炊いて、カレーも直火調理した、キャンプの味です!!
おいしくてご飯を完食!!


昼食を終え、おもむろに各自作業に戻り、斧でおおよその形が成形できたらついにナイフ登場!!
人によっては、最初からほぼナイフの作業だと想像してきた人もいたかもしれませんが、今回はプログラム時間の半分が過ぎてもナイフが握れないという状況でした。
それくらい、斧ではつる作業がグリーンウッドワークにおいては、大切な作業なのです。


ついに握れたナイフをみなさん使いこなし、徐々にスプーンの形に近づけていきます。
今回はカービングナイフとフックナイフを使いましたが、フックナイフの扱いにみなさん苦労していましたね。
このタイミングで、今までやろうとしていた自分自身のスプーンが大きすぎたこと、実はもうスプーンではなくおたまにしようとする人、いろんな人が出てきましたが、それも個性で面白いですね。

ナイフで削る時間は無言の時間でした。
みなさんいわゆるフローな状態に入り、集中して目の前の木と向き合っていました。
終了予定の時間を過ぎてしまいそうだったので、声をかけましたが、みなさん延長を希望していたので、空が暗くなるまでみんなで黙々と作業を続けました。


最終的には、それぞれ納得がいくところまでいけたかどうかわかりませんが、少なくとも1日ず~っと向き合い続けてきた、目の前のスプーンに愛着は湧いていたと思います。

ものを手に入れて
気に入る=愛着
ではないと自分は思っています。

愛着を持つとは、自分とモノの間に物語りがあって、それを大切にしたい気持ちが愛着なのかと思っています。
例え買ってきたものだとしても、一緒に過ごす時間が長くそのモノを通して、誰かとの思い出が生まれたり、自分で修理をしながら使い続けたり、自分とモノの間にいろんな物語りが生まれれば、愛着は湧いてくると思います。
簡単に使い捨てられるようなものには、やはり愛着は湧いてこないですよね。

でも、今回みなさんが苦労して作り出したスプーンは
もしかしたら形としては納得いっていない人もいるかもしれませんが、立っている木を切り倒し、長時間斧で削り、ナイフで形をつくり、指に豆ができるくらいがんばって生み出した作品であり、愛着が湧かないわけがないだろうなぁと思っています。

ぜひ、使い込んで大事にしてほしいなぁと思いました。


「森の整備→ものづくり→生活へ→自然のもとへ」という循環。
ものを大切にする
生活の中に自然を取り入れる
ものづくりの楽しさ
一緒に作業する楽しさ

こんなところを少しでも感じてもらえていたら、うれしいです。

グリーンウッドワークやものづくりの輪が
ここから広がっていくといいなぁ。と思っています。

エコビレッジシェルタープロジェクトでは、定期的にグリーンウッドワークを実施しています。
興味がある人は、ぜひ覗いてみて下さい。

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